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【症例】親知らずを放置した患者様の治療|横向きの親知らずを放置することで生じるリスクとは
福岡市博多・渡辺通駅の加納歯科クリニック福岡です。
「親知らずが気になるけれど、痛くないから放置している」「奥歯や歯ぐきがしみる」「噛むと痛い」「頬が腫れてきた」このようなお悩みで来院される方は少なくありません。
親知らずは、いちばん奥に生えるため歯ブラシが届きにくく、汚れがたまりやすい歯です。
とくに横向きや斜めに埋まっている親知らずは、自分では気づかないうちに、すぐ手前にある「一生使う大切な歯」にまで悪い影響を与えてしまうことがあります。痛みがないからと放置しているうちに、隣の歯がむし歯になっていた、というケースは決して珍しくありません。
今回は、右下の強い痛みで来院された患者様の症例をもとに、親知らずを放置するとどうなるのか、そのリスクと治療についてご紹介します。
症例紹介|30代男性・右下の奥歯と頬全体が痛む

今回の患者様は30代の男性です。
右下の親知らずが横向きに生えていましたが、そのままにされていました。ところが数日前から右の頬全体が痛くなり、当院を受診されました。
お口の中を確認すると、親知らずが横に寝そべって埋まっているものの、見た目には特に大きな問題はないように見えました。しかし、レントゲンを撮影すると原因は一目瞭然でした。
奥から2番目の歯(第二大臼歯)に、黒く抜けたように写る大きなむし歯ができていたのです。

痛みの直接の原因はこの奥から2番目の歯のむし歯でしたが、そのむし歯を作った本当の原因は、横に倒れた親知らずにありました。
親知らずが手前の歯に覆いかぶさるように倒れていたため、歯と歯の間をうまく磨くことができず、汚れがたまり続けていたのです。この状態では、歯と歯の間を清潔に保つことはとても難しくなります。
しかもこの親知らずは、今から真っすぐ生えてくることはなく、上の歯と噛み合って機能することもありません。
つまり「あっても役に立たず、清掃の面ではむしろ悪影響」という状態でした。もう少し早く抜歯できていれば、一生使い続けなければならない隣の歯は守られていたかもしれません。
むし歯は大きく、神経にまで達していたため、親知らずの抜歯とあわせて、隣の歯の神経の処置を行い、被せ物をかぶせる治療の流れとなりました。
治療の流れ

1. 精密検査・診断
まずレントゲン(必要に応じてCT)を撮影し、親知らずの向きや、隣の歯・神経・血管との位置関係を正確に確認しました。
横向きの親知らずは、神経や血管に近いこともあるため、事前の診査がとても重要です。
2. 原因となっている親知らずを抜歯
トラブルの根本原因である横向きの親知らずを抜歯しました。清掃を妨げ、隣の歯をむし歯にしていた原因そのものを取り除きます。
3. 隣の歯の根管治療(神経の処置)
むし歯が神経にまで達していたため、隣の歯は根の中を丁寧に清掃・消毒し、感染を取り除く根管治療を行いました。
4. 被せ物(クラウン)で機能を回復
根管治療の完了後、しっかり噛めるように被せ物を製作・装着し、歯の機能を回復させました。抜歯だけで終わらせず、原因の除去と隣の歯の保存を両立させた治療です。
治療後の状態
横向きの親知らずを抜歯し、隣の第二大臼歯は根管治療を行ったうえで被せ物を装着しました。痛みの原因を取り除き、一生使う奥歯を「抜かずに残す」ことができました。
親知らずが原因のトラブルは、原因を取り除かないかぎり繰り返してしまいます。今回のように早い段階で原因の親知らずを抜くことができれば、隣の歯へのダメージを最小限に抑えることができます。
もう少し早く受診されていれば、隣の歯を削る量もさらに少なく済んだ可能性があります。親知らずが埋まっている方は、痛みが出る前の検査をおすすめします。
親知らずを放置するとどうなる?

親知らず、とくに横向きや斜めに埋まった親知らずを放置すると、次のようなトラブルが起こることがあります。
いずれも、自覚症状が出たときにはすでに進行していることが多いのが特徴です。
とくに「隣の歯がむし歯になる」「歯ぐきが腫れる・膿が出る(智歯周囲炎)」は、多く起こる症状となります。
隣の歯がむし歯になる【よく起こる症状】
横向き・斜めの親知らずは、手前の歯との間に汚れがたまりやすく、歯ブラシが届きません。その結果、今回の症例のように、一生使う手前の大切な歯がむし歯になってしまいます。
最悪の場合、神経の処置や抜歯が必要になることもあります。親知らず自身ではなく「隣の歯を巻き添えにする」ことが、放置の最も怖いリスクです。
歯ぐきが腫れる・膿が出る(智歯周囲炎)【よく起こる症状】
中途半端に生えた親知らずの周りは汚れがたまりやすく、細菌が繁殖して歯ぐきが炎症を起こします。
腫れ・痛み・口が開きにくい・膿が出る・発熱などを繰り返すことがあり、疲れているときや体調不良のときに悪化しやすいのが特徴です。
一旦症状が落ち着いても、炎症が繰り返されることにより骨が溶け、隣の歯にも悪影響がでてきます。
歯並びが乱れることがある
親知らずが手前の歯を押すことで、時間をかけて歯並びや噛み合わせに影響が出ることがあると考えられています。
せっかく整えた歯並びが崩れる原因になる場合もあります。
口臭の原因になる
清掃しにくい親知らずの周辺は、食べかすや歯垢がたまりやすい場所です。細菌の温床となり、口臭の原因になることがあります。
嚢胞(のうほう)ができることがある
まれに、埋まった親知らずの周りに嚢胞(のうほう)と呼ばれる袋状の病変ができ、周囲の骨を溶かしてしまうことがあります。
自覚症状がないまま進行することがあるため、レントゲンでの定期的な確認が大切です。
親知らずは必ず抜歯しないといけない?
親知らずがあるからといって、必ずしもすべてを抜く必要はありません。
まっすぐ生えていて上下でしっかり噛み合い、きちんと清掃できている親知らずであれば、無理に抜かずに経過観察とすることもあります。
親知らずを抜かなくても良いケース

・まっすぐ正常な向きに生えている
・上下でしっかり噛み合い、歯として機能している
・歯ブラシが届き、きちんと清掃できている
・むし歯や歯周病、周囲の炎症がない
・手前の歯や歯並びに悪影響を与えていない
・将来、歯を失ったときに移植やブリッジの土台として活用できる可能性がある
親知らずを抜いた方がいいケース

・横向き・斜めに生えている、または埋まっている
・手前の歯を押していて、むし歯や歯並びへの悪影響が出ている(出そうな)場合
・親知らず自体、または手前の歯がむし歯になっている
・歯ぐきの腫れや痛み(智歯周囲炎)を繰り返している
・上下どちらかにしか生えておらず、噛み合っていない
・歯ブラシが届きにくく、汚れがたまりやすい
・嚢胞(のうほう)など、レントゲンで周囲に異常が見つかった
どちらのケースに当てはまるかは、見た目だけでは判断できないことも多く、レントゲンやCTでの確認が必要です。
大切なのは、自己判断で放置せず、歯科医師の診査を受けて「抜くべきか、経過観察でよいか」を確認することです。
加納歯科クリニック福岡では、親知らずの抜歯・口腔外科に対応しています

渡辺通駅加納歯科クリニック福岡では、親知らずの抜歯をはじめ、歯科口腔外科の治療に幅広く対応しています。
今回のように、横向きの親知らずが原因で隣の歯にトラブルが起きているケースでも、レントゲンやCTで状態を正確に確認したうえで、患者様のお口の状態やご希望に合わせて治療方法をご提案します。
抜歯後に必要となる隣の歯の根管治療や被せ物まで、一貫して対応できるのも当院の特徴です。
親知らずの放置が気になったら早めにご相談ください
親知らずを放置していても、自然に良くなることは基本的に期待できません。
「痛くないからそのままにしている」「たまにしみるけれど我慢できる」「抜歯がこわいので先延ばしにしている」
このように感じている方も多いと思いますが、状態が悪化すると、今回のように隣の一生使う歯までむし歯になったり、歯ぐきの炎症や周囲の骨への影響が広がったりすることもあります。
しかも、これらの多くは痛みという「手遅れのサイン」が出るまで気づきにくいのが厄介な点です。
親知らずが埋まっていると言われた方、奥歯がしみる・噛むと痛い・頬や歯ぐきが腫れるといった症状がある方は、痛みが強くなる前に、早めに歯科医院で状態を確認しましょう。















